ドラッカーと会計の話をしよう

ドラッカーと会計の話をしよう

ドラッカーと会計の話をしよう


会計の話だが、物語になっているので、読みやすい。
コドモの頃は経済や会計なんていうのは自分には全く関係ないと思っていた。が、社会に出ると「お金の流通」とは関わらずにはいられなくなってくる。
主人公は、銀行を退職してイタリアンレストランのオーナーとなった40代前半の男性。最初は軌道に乗っていたレストランがだんだん不振となり、妻と娘は実家に帰ってしまった。この辺りは、娘を私立に入れたとか、結構リアルである。
そこへ、アメリカの実業家から、店を買いたいとのオファーがあった。彼はアメリカに向かう飛行機にのっていたのである。その時、丁度オーバーブッキングで彼はファーストクラスに座ることになり、隣に座った初老の男性から会計の手ほどきを受ける、という話だ。
私が今回一つだけ覚えたのは「利益と儲けはちがう」という話だ。利益と儲けってどこが違うの?と思うだろうが、私もそう思った。「へ〜」という感じである。

さて、開業についてだが、私も会社員から開業したクチである。比較的スムースに開業できたと思っている。操体の勉強をみっちり3年してから開業、ラッキーなことに本を書くチャンスにも恵まれ、最初から操体の世界の大物の先生方とご縁を繋ぐことができた。

私の周囲でも開業する人は多いが、開業が目的になってしまわないようにすることだ。
開業は誰でもできる。税務署に行って開業届けを出し、確定申告をすればいいだけだ。問題は開業してからだ。私達の間では、開業して一年はクライアントや患者様はこない、と考えるほうが自然である。開業したからといって無条件にクライアントが来るわけではない。また「開業ご祝儀」ということで「一度行ってみるか」という場合もある。開業にあたって、内装や備品に費用をかけて開業しても、それがすぐ回収できるわけではないのである。これは大きなポイントだ。
内装や備品に多大な費用をかけても、店舗の中でぼ〜っとクライアントを待つというのは恐ろしいことで、次々と色々なことを考える。もう少し安くしたら来るんだろうか、チラシでも捲いたほうがいいか、近所に営業に行くか。それとも何か物販するか、などである。

また、見切り発車で開業する場合もある。これは、本人が充分な修業を積まないうちに、諸般の事情で開業する場合だ。操体法東京研究会の講習にも、見切り発車してしまったのだが、腕が追いつかず、クライアントに対して結果が出せない、と勉強に来ていた人がいた。このように、見切り発車後も勉強すればいいのだが、大抵はクライアントが来なかったりして、勉強する余地がなかったりする。見切り発車ほどその後の勉強が必要なのだ。講習を受けて、修了書をもらったらその後は勉強しない、というのは本当に残念である。

かといって、全部完璧に準備してから開業、というのが遅い場合もある。会社を退職して、懐にゆとりがあり、お金に糸目をつけずに勉強できる身分ではあるが、遅すぎる、ということもあるからだ。
例えば鍼灸師。キャリア40年の60歳のベテランに打って貰うのと、57歳で早期退職して、鍼灸学校に行き、60歳で国家資格を取った鍼灸師、どちらに打って貰いたいか。正直な話、私はベテランに打って貰いたい。あなたはどうだろう?