猿丸幻視行 歴史ミステリー

新装版 猿丸幻視行 (講談社文庫)

新装版 猿丸幻視行 (講談社文庫)


猿丸幻視行 (1980年)

猿丸幻視行 (1980年)

我が家には、1980年に『猿丸幻視行』があった。
何故かというと、著者の井沢氏が父の同僚だったのである。TBSの報道部勤務時代に本書で江戸川乱歩賞を取った時、サインをして父に贈ってくれたのだ。その時印象に残っていたのが「畠山」の「畠」の「白」が「自」になっており、『作家でも漢字を間違うのか』と変な感心をしたのを覚えている。というかそんなことは覚えているものだ。

主人公が精神のみタイムスリップして、折口信夫と同一化し、猿丸太夫と柿本人麻呂といろは歌の謎について書かれている。父は池波正太郎藤沢周平が大好きで、家には時代物がたくさんあった。というわけで、私も小学生の頃から池波・藤沢両氏の小説はよく読んでいたのだが、
『会社の同僚が江戸川乱歩賞を取って本をくれた』と、父が持ってきた本も当然読んだわけである。小学校から高校時代にかけて、私はとにかく本を読んでいたが、この本の内容はいわゆる「歴史ミステリー」で、少し前に梅原猛の『隠された十字架』を読んで中学の修学旅行に臨んだ
山岸涼子の『日出処の天子』も影響あり)私にとっては非常に興奮する内容だった。

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

しばらくして井沢氏はTBSを退職したと父に聞いた。
それから『逆説の日本史』など、井沢氏が日本史の裏などを書いたのはご存じの通りである。

歴史ミステリと言えば、昔読んだのが『成吉思汗の秘密』高木彬光ジンギスカン源義経が同一人物か?という謎解きである。おそらくこの本だと思うのだが(違っていたらご指摘下さい)。義経と静御前、それと天城山心中事件が絡んでいたような気がする。
また、この本はいわゆる『ベッド・ディティクティブ』モノと言われるヤツで、主人公が怪我か何かして入院中にベッドで歴史上の謎を解くもものだ。
偶然ではあるが、私が中学二年の時、ミステリ好きの同級生に勧められて買い、未だに持っている本がある。
ジョゼフィン・テイの『時の娘』である。

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)

何とこの『成吉思汗の秘密』は『時の娘』にインスパイアされて書かれたのだそうなのだ。それを同じ時期に読んだというのも何かのご縁かもしれない。

『時の娘』は、足を折った刑事が暇つぶしに歴史書を読み(本を持ってきてくれる女友達がいるところも似ている)、極悪非道の悪人と言われているリチャード三世は、『極悪非道の悪人ではない』という推理をするミステリである。リチャード三世と言えばシェイクスピアの作品でも醜い極悪人として描かれている。
ちなみに『時の娘』とは「真実は、今日は隠されているかもしれないが、時間の経過によって明らかにされる(明らかになる)」という意味なんだそうである。

リチャード三世を他の視点から見たといえば、森川久美の『天の戴冠』。森川氏のデビューは確か私が小学生の時だと思うが、あの独特なタッチが好きだった。もう一度読みたい。
で、チェックしてみたら今市子さんって、森川さんのアシスタントだったのね。。。
どうりで私がはまるわけです。。。